2019年の初め、年老いたシウラムと、その夫で癌を患うアダイは辛い宣告を受けた。シウラムまでもが脳腫瘍で余命三ヶ月であることがわかったのだ。老人が死を待つのは、自然なことだ。しかし、ふたりには思い残すことがあった。ひとり息子ジッジの30年前の不自然な死について、わからないことだらけだったのだ。シウラムはこれまでの苦しみや罪悪感を捨て、息子と向き合おうと思い決める。あれこれ考えすぎてなにもできない臆病なアダイに歯がゆさを感じながらも争わないできた。しかし、死を前にして、もはや恐れることはなにもない。二人は一世一代の目標を立てる。それは、5月35日のその日に、正々堂々と息子を天安門で追悼する、たった“それだけ”のことだった……。
作:莊梅岩
訳:マギー・チャン/石原燃
演出:松本祐子
出演:竹下景子、林次樹 ほか
2022年4月20日(水) ~ 24日(日)
東京芸術劇場シアターウエスト
公演詳細:http://p-company.la.coocan.jp/p35.html